|
|
井上梅次「第六の容疑者」、
高松英郎の探偵はある企業の横流しとそれに関わる経理課長の隠し子問題を脅迫しており、その課長の妻の不倫も脅していた。
また社長の娘白川由美との結婚を控えた男は社長秘書と出来ていて、それも秘書とは元関係があった高松が脅していた。
しかしある時高松がガス中毒で殺され、記者の三橋達也と企業社員の宝田明らが警察と共に捜査に乗り出す・・・・。
前半は横流しや不倫、隠し子問題、愛人問題などを強請る高松の悪漢ぶりと、彼に暴かれて浮き足立っていく後ろ暗い連中のノワール映画のように蛇行的に展開する。
このまま悪党と後ろ暗い連中が絡み合うパルプノワール映画になるのかと思いきや、高松が殺されてからは一気に犯人探しの推理映画になる。
つまりこの高松と後ろ暗い連中との絡みはこの推理劇の容疑者紹介編みたいなものだったわけだが、それにしては中々魅力的な東宝ノワールが前半は展開する。
後半の宝田と三橋を中心とした推理劇展開も中々テンポがよく、徐々に容疑者の容疑が晴れていって結局謎の第六の容疑者を探すことになるが、真犯人のトリックはそれほどのものではないものの、前半の悪女が登場するノワール展開が後半の推理ドラマに大きく関係していたことが発覚する顛末となっていく。
まあ原作がそうなのだろうが、もうちょっと意外なラストでもいいだろうし、ちょっと呆気なさがなくもないが、やはりテンポのいい犯人探し展開が飽きさせないので中々悪くない描写となっている。
ノワール映画から推理映画にスイッチする一粒で二度おいしい魅力がなくもない佳作な一篇。
|
|